ピロリ菌は胃癌のリスクを20倍にする

とある男性
とある男性

うう、最近お腹が減るとお腹が痛くなるんだよな

とある女性
とある女性

毎日言ってるわね、病院に行ったらどうかしら

う〜ん、行っても胃薬出されるだけだし無駄かなって

それもわかるけど。

あっ!でもピロリ菌?っていうのが原因になったりするって聞いたことあるよ

菌?なんかますますわからなくなってきたよ

さくらだ
さくらだ

というわけで、今回はこんなテーマのお話です。

ピロリ菌 〜その危険性と対策〜 

今回のまとめ
  • 胃炎がある人はかなり高い確率でピロリ菌が住んでいる
  • ピロリ菌がいるだけで胃癌になるリスクが15〜20倍になる
  • ピロリ菌の検査は痛くない(息を吹きかけるだけで検査できる)
  • 陽性だったらお薬を飲むだけで治療できる
  • 結論:胃痛がある人 or 50歳以上の人は積極的に検査した方が良い
見出し

ピロリ菌とは

通常ヒトの胃は胃酸があり、細菌が生息できないと考えられていた。
そんな常識を覆した菌、それが「ピロリ菌」である。
なんだか可愛らしい名前だが、この菌はウレアーゼといわれる酵素でアンモニアを生成し
胃酸をアルカリ性のアンモニアで中和する(中和は中学の理科で習ったあれのこと)ことで
胃の中でも元気に活動している。

この厄介かつ”したたかな”な細菌は胃炎や胃潰瘍、胃癌などの病気を引き起こす。

胃炎の約60%, 胃潰瘍の80%でピロリ菌が陽性であったとの報告がある。

World J Gastroenterol. 2005 Feb 14;11(6):791-6. 

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

  1. 感染率


日本でのピロリ菌の感染者数はおよそ6,000万人と推定される。
10~20代では10%前後
50代以上の人では40%程度
60歳以上では60%程度の感染率である

つまり病弱な人にいるとかではなく

普通の健康そうな人にも感染している

国立国際医療研究センター国府台病院 病院長 上村 直実
「ヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用 による胃がん減少効果の検証について」
厚生労働省が公開するPDF資料より抜粋

2. 胃癌との関連

1993年、世界保健機関(WHO)がピロリ菌を発癌性物質に指定して以来、ピロリ菌は胃癌の最強の危険因子とされている。(一部胃癌を除き、原因の90%を占めるとされている Best Pract Res Clin Gastroenterol. 2014;28:1107‐1114.
「胃癌は感染症である」と唱えている医師も多いが、これはあながち誇張された表現でもないのだ。

では、どれくらい危険なのかというと、、、

ピロリ菌未感染者と比較し感染者の胃癌リスクは
日本人は15倍以上、海外では20倍以上とされている

H,pylori感染の診断と治療のガイドライン 2016改訂版

正直初見で見た時は引いてしまった。
みなさんにお伝えせねばと思ったきっかけでもある。

まあ危険ってことは分かったよ

でもどうやって感染してるってわかるのさ

さくらだ
さくらだ

答えは簡単!

”袋に息を吹きかけるだけです”

検査

ピロリ菌を検出する検査はたくさんあるのですが今回最も簡便で痛くないものを紹介します。
それが『尿素呼気試験』
高い診断精度を誇り、効果判定(治療を始めた後にピロリ菌がちゃんと退治できたかを判定すること)にも使えます。
一部検査時の注意点などあるのですが、ガイドラインにも記載されている優れた検査法です。

その他の検査法として血液を使用するもの、内視鏡検査を使用するもの、便を使用するものなどありますがそれぞれに短所、長所があるので
受診したクリニックに相談することをお勧めします。

ただ、このピロリ菌検査。
一つ注意点があります。
それは内視鏡検査(胃カメラ)をピロリ菌検査前に受けなければならないことです。

仮に直接ピロリ菌検査をするとなると保険診療から外されてしまい、
10割負担で検査することになります。

なぜこんな面倒臭いことをするのかというと恐らくですが早期胃癌をなるべく発見したいという厚労省の願いが込められている気がします。

ではおおまかに検査の流れです。

検査の流れ

まず前提として50歳以上の人には健康な人も含めすべての人に胃癌検診が勧められている。

                     『胃がん・乳がん検診に関する 指針の改正について』
                       厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課

なのでそもそも無症状であっても、50歳以上でこの記事を見かけた方はぜひ次の機会に検診に行かれることをお勧めします。
※余談ですが胃バリウム検査(上の画像の胃エックス線検査のこと)と胃カメラ(上の画像の内視鏡検査のこと)、どっちが良いかと聞かれれば
”胃カメラ”を推奨します。理由は胃バリウム検査では早期胃癌が発見できないことが多いからです。

では50歳未満の人はというと下のような流れになるかと思います。
「食後に胃が痛い」や「むかむかする」
と言った症状でクリニックに行く

胃薬を処方される

治らない

胃カメラをする

胃炎がある

ピロリ菌検査(尿素呼気試験など)をする

陽性なら治療をする

といった形です。

最後に治療に関してです。

治療

基本的には抗生剤と胃酸抑制剤の3剤です。
陽性であればこれらを1週間内服します。
大体85〜90%程度の確率で除菌できる。
除菌できなければまた違う種類の抗生剤を使い5〜10日程度内服する。
上記のような流れになります。

ただし除菌成功後にも定期的な内視鏡検査や胃がん検診を継続して実施することは極めて重要なので忘れずに(担当医がプランを説明してくれる、はず)

さくらだ
さくらだ

これほど癌のリスクとして大きく、かつ明らかになっているものは少ないと思います。

予防がいかに大事であるかを実感します。

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