肥満とメタボリックシンドローム(MetS)は世界中で問題となっており、その効果的な治療法を考え出すことが医学界の注目を集めている。
米国におけるMetSの有病率は22~35%と推定されており、2030年までに成人の75%以上が過体重または肥満になると予測されている。
一般的に食事内容とMetSに関しての研究は以下のようなものがある
- 西洋風の食事(赤身肉、加工食品、砂糖、飽和脂肪酸を多く含む)は
MetSの発症率を18%上昇させる。 Nutr. Rev. 2017, 75, 307–326.
- 北欧風の食事(野菜、果物、キノコ類、魚を多く含む)を18〜24週間継続することは
MetSを改善させる効果がある。 J. Intern. Med. 2013, 274, 52–66.
今回の研究では食事内容ではなく、断食の効果に関して今までの研究を踏まえ評価している
過去の文献のReview(簡単に言うとこれまでに分かったことのまとめ)
断食は、現在精神的な目的のために広く実践されており、宗教の習慣の一部として残っている。
現在医学や健康習慣として実践されている断食の手法としては以下のようなものがある
- 1日おきに24時間の断食を行う手法(Altarnate day fasting)
- 1週間のうち2日間断食しさらに2日間低カロリー食を摂取する手法(5:2法)
- 毎日一定の時間(9時〜15時など)のみ食事する手法(Time restricted feed)
シカゴの病院において、肥満の成人(18~64歳)を対象とした臨床試験を紹介する。
参加者は1年間、1日おきに24時間の断食を行う手法(Altarnate day fasting)を行い、低カロリーの食事を摂取した参加者、通常の食事を行なった参加者と比較された。
12ヵ月の経過で、通常の食事を摂取した参加者は参加前の体重付近を維持したが、1日おき断食およびカロリー制限をした参加者は、6ヵ月までにいずれも7%低く体重が減少した。
糖尿病や心疾患系イベント(心筋梗塞など)に対しても効果を認めた。
糖尿病に関しては上記3つの断食手法いずれを行なっても改善されることが示された。
Physiol. 2005, 99, 2128–2136.
Obesity 2016, 24, 1874–1883.
一般に報告されている副作用には、低血糖、めまい、脱力感などがある。
さらに、適切なタンパク質補給を伴わない断食は、筋肉を消耗させる原因としてよく知られており、避けるべきである。
・ホルモンバランスが悪い人
・妊娠中および授乳中の女性
・幼児
・高齢者
・免疫不全の人
上記の人には低血糖やめまいなどの副作用が強く出てしまう可能性もあり推奨されない。
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