自己免疫性疾患とは本来ウイルスなどに働く免疫が間違って自分を攻撃してしまうことで体調が悪くなってしまう病気。
ステロイドなどの免疫を抑える薬が有効だがその反面感染に弱くなるため
肺炎などにかかりやすく、重症化しやすくなる
治療をすることは難しく一般的には難治性疾患の部類に入る
ビタミンDは炎症、獲得免疫、自然免疫反応に関わる遺伝子を制御しているとされている
しかし過去にその有効性を示した論文は少ない
オメガ3脂肪酸は自己免疫性疾患に対する有効性が期待されている栄養食品であり
デンマークの研究では1日の魚の摂取量が30g増えると、関節リウマチのリスクが49%減少することが報告されている J Rheumatol 2005;32:1249-52.
しかし大規模な研究は過去になく、いまだにEvidenceが不足している状態である。
本研究の目的は
約5年間の調査におけるビタミンDおよびオメガ3脂肪酸の補給が自己免疫疾患発生(関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛、自己免疫甲状腺疾患、乾癬など)に与える効果を報告することである
対象:米国在住の25,871人(50歳以上の男性、55歳以上の女性)
介入:ビタミンD(2000 IU/日) or/and
オメガ3脂肪酸(エイコサペンタエン酸460 mgとドコサヘキサエン酸380 mgを含む魚油カプセルとして1 g/日)を毎日摂取していただく
比較:約25,000人を半分にわけ、ビタミンDかオメガ3脂肪酸を摂取する人達 v.s. 摂取しなかった人達(プラセボ郡)で5年間調査する
効果判定:自己免疫性疾患の発生率
ビタミンDを摂取した郡では5年間で123人が発症
一方プラセボ郡では155人が発症していた(22%減少)
オメガ3脂肪酸を摂取した郡では5年間で130人が発症
一方プラセボ郡では148人が発症していた(15%減少)
ビタミンDとオメガ3脂肪酸を併用した郡では5年間で31%減少していた
5年間のうち最初の2年間を除外して解析(つまりしっかり効果が現れてからの検証)では
ビタミンDを摂取した郡はプラセボと比較し39%減少させたが、
オメガ3脂肪酸を摂取した郡ではプラセボと比較したとき差がでなかった。
過去の研究では、これらのサプリメントが自己免疫疾患の発生を減少させるメカニズムについて説明している。
ビタミンDは、炎症、獲得免疫、自然免疫反応に関わる多くの遺伝子を制御する。中でもTh17細胞(過剰に産生されると自己免疫性疾患を引き起こすとされている)の増殖を抑制する働きがあることが判明している
オメガ3脂肪酸は炎症性のタンパクを抑制する効果があることがわかっている。今回の研究では健康な人の発生を予防できなかったが、すでに自己免疫性疾患にかかっている人への治療に役立つ可能性がある。
Comments